人混みでひとりぼっち
相対する恋心と方程式
頬を張った痛みが蒸発する前に
そのふざけた歌声を薙ぎ倒して
プリーツスカートの向こう側の青空
灰色の虹のふもとで落ち合いましょう
大音量で嘆いたって誰の耳にも届かないよ
日付が変わると同時に口づけをした
君の元以外に落ちる場所なんてない
ひっくり返して取り戻した

走り出したメロディーと進めない僕
なにもない部屋で起こるおとぎ話
殴りつけた痣の青と流れ出す血の赤
夕焼けの遥か先に明日を迎えに行くよ
噛み締めた涙はどんな味がしましたか
どうかこの胸に孕んだ無色を取り除いて
虫刺されから逃げるしあわせ
黒ずくめの高揚感とワルツを踊る
もうしゃべれないように蓋をしてよ
僕らがまだ空を飛べた頃

髪を梳く優しい指の温度さえいつかは
凝り固まった幸福と溶けない氷
雨音に掻き消えた君の嗚咽を拾い集める
ポケットから聞こえる賑やかな思い出
手を解けば離れるなんて分かっていたのに
花は枯れ人は死ぬのに何故この世はなくならないの
突き落としてでも手に入れたかった
あなたの前ではどんなものでも霞んで見えるわ!
切り株に腰掛ける欲望に別れを告げた
薄暗がりから見つけ出した僕だけの君